股関節の検査
HIP JOINT EXAMINATION
股関節の検査について
当院では認定医による股関節の検査と診断を行っています。
- 血統的に股関節形成不全になりやすい犬種を飼っているので気になっている
- 最近お散歩から帰ってくると後肢を挙げている
- 前よりもお散歩に行きたがらなくなった
- 足がもつれたり、腰がふらつくことがある
などの症状がある場合は早目にご相談ください。
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股関節形成不全
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股関節形成不全と重度の関節炎
股関節の病気と検査
股関節の病気には股関節形成不全(股異形成)をはじめとして、レッグ・カルベ・ペルテス病、脱臼、骨折、骨関節炎、腫瘍など様々なものがあります。他の整形外科領域の病気と同じく、問診や触診、歩行検査、神経学的検査、超音波検査、レントゲン検査などを実施して総合的に評価します。
股関節形成不全に関しては、下記検査機関にレントゲン画像を提出してスコアリングされますが、その後の生活環境などによって関節の形態は大きく変化してゆくことを理解して、ワンちゃんやネコちゃんのケアの準備をすることが大切です
各検査機関と内容について
JAHD Network(Japan Animal Hereditary Disease Network)
日本動物遺伝病ネットワーク
JAHD Networkとは日本動物遺伝病ネットワークというNPO法人で、股関節の診断を行うためには1歳以上という年齢制限があります。評価部位は全9項目で、スコアポイント(片側45ポイント)により評価を行います。股関節のほかに肘関節、膝蓋骨脱臼の評価も行っています。
PennHIP(Pennsylvania Hip Improvement Program)
PennHIP(ペンヒップ)とは、米国のペンシルベニア大学のゲイル・スミス博士が開発した犬の股関節の検査方法です。早期(生後16週齢以上)に評価することのできる唯一の検査機関で、一般的にレントゲン上での股関節の評価は、関節炎や骨の変化、大腿骨と寛骨(骨盤)との関係などを基準としますが、PennHIPは関節の緩みに主点を置いています。それは股関節形成不全が引き起こす様々な素因の中でもその『緩み』が重要な要素の一つであるからです。
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Hip Extended View
(一般的なポジション:腹背像)
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Compression View
(大腿骨頭を押込んだポジション)
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Distraction View
(大腿骨を牽引したポジション)
上の写真はPennHIPの検査に必要なレントゲン写真です。左の一般的な股関節診断のポジションでは分からない関節の緩みが大腿骨を牽引することで確認することが出来ます。
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Compression View
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Distraction View
左の押込んだポジションから右の牽引したポジションを見てみると、外側(黄色の矢印の方向)へ大腿骨頭が移動しているのが分かります。これが関節の『緩み』です。PennHIPではこの緩みをDI(ディストラクションインデックス)という係数に表し股関節の評価を行い、また骨関節炎の評価も同時に行います。
OFA(Orthopedic Foundation For Animals) Hip Dysplasia Grade
OFAとは米国の動物整形外科基金の団体で、小動物から大動物まで様々な検査を行う機関です。犬の股関節の評価をする場合、2歳以上という年齢制限があります。評価部位は全9項目(Standard VD Viewを入れると18項目)で、7段階(Excellent,Good,Fair,Borderline,
Mild,Moderate,Severe)で股関節の評価を行います。
BVA/KC(British Veterinary Association/ Kennel Club) Hip Dysplasia Scheme
BVA/KCとは英国の獣医師会及びケンネルクラブ検査機関で、1歳以上という年齢制限があります。評価部位は全9項目で、スコアポイント(片側53ポイント)により評価を行います。股関節のほかに肘関節の評価も行っています。